サーチ・ギャラリー

 何件か用事を片づけにロンドンに上京。ランカスターほどではないにせよ、雨模様のロンドンもかなり寒い。
 合間を見て、1ヶ月前にオープンしたサーチ・ギャラリー(Saatchi Gallery)を見学。広告代理店の経営者でお金持ちでアート・コレクターのチャールズ・サーチは、1990年代の「ヤング・ブリティッシュ・アーティストたち」(YBA)を世に出した仕掛け人としてつとに知られる。5年前に見たときは、サウス・バンク、ロンドン・アイの隣のカウンティ・ホールを会場として、デミアン・ハーストやサラ・ルーカスらのYBAの作品を呼び物としていたが、その後サーチの関心はヨーロッパの若手へ、さらに中国のアーティストに向かった。カウンティ・ホールの所有会社とのトラブルがあって2005年にそこは閉鎖。新たな場所はチェルシー地区、スローン・スクエアに近接した建物を使っている。
 そのHPを見ると、英語版のほか、15ヶ国語に対応していて日本語ページもあるというので、アクセスしてみたが、これは使えない。
「ヨークのHQのデューク、チェルシーでの SAATCHI ギャラリーオープン」
という見出しでなんのこっちゃと思って先を読むと
「Saatchi ギャラリーは70,000平方フィートで今開いている。 キングの通りをもとに作り上げているヨークHQのデューク、中国から新しい芸術を専門に行なっている展示会を持っているチェルシー。」
翻訳ソフトにかけたのをまともにチェックしていないで載せてしまったようだ。
 ともあれ、チェルシーのキングズ・ロードにある「デューク・オヴ・ヨーク(ヨーク公)HQ(本部)」という陸軍関係の施設(英国国防義勇軍の本部など)として使われた古い建物を改装して、地上三階、地下一階の4つのフロア、12室(あわせて7万平方フィート)をたっぷりと使い、その移転第一回の展覧会が「革命はつづく――中国からのニュー・アート」と題して、中国のアーティストにスポットを当てている。今度のは入場無料、しかも写真撮影もOKだった。

Yue Minjun 無題 2005

Zhang Dali, Chinese Offspring 2003-2005


Cang Xin, Communication 2006
これはシリカゲル(ケイ酸ゲル)を素材にしている。サーチのコレクションにあったYBAの作品でRon Mueckの"Dead Dad"(1997)という(自分の父親の遺体をおよそ半分の大きさにしてリアルに再現した)忘れがたい像があって、それを連想させるが、こちらは等身大のハイパー・リアル像。おなじくMueckに苦悩する天使の像というのもあったが、文字どおりの「墜ちた天使」像などもあった。


Sun Yuan and Peng Yu, Angel 2008

養老施設でさまざまな人種の老人のリアルな人形を載せた車椅子が自動的に動き回っている部屋、巨大な大便のオブジェ(indigestion IIというタイトルが笑わせる。なるほど、バフチンの言うとおりこれは「陽気な物質」だ)、同質の表情をもつZhang Xiaogangの一連の家族の肖像、毛沢東文化大革命をパロディにした油彩画、「革命はつづく」というタイトルでこれらの多種多様な作品を括れるのかどうか疑問だが、けったいなものをいろいろ見られた。