冷戦モダン
ランカスターはここ数日好天つづきで、寒さもそれほどでもない。年末年始は遊びまわりたいところだけれども、2つほど約束の仕事の締め切りがあって家にこもりがち(関係者各位へ、遅くなりましたが進めています)。
1週間前、身内が一人訪ねてきたので、その案内のためロンドンへ。その折、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館に連れて行った際に、小時間単独行動ということにして、気になっていた特別展Cold War Modern: Design 1945-1970を遅ればせながら見学。
Cold War Modern: Design 1945-1970
- 作者: David Crowley,Jane Pavitt
- 出版社/メーカー: Victoria & Albert Museum
- 発売日: 2008/09/01
- メディア: ハードカバー
- この商品を含むブログ (1件) を見る
東西両ブロックの相容れぬ緊張・対立という政治的構造のなかでの双方の「モダン」の産物を概観したときに、両者の差異よりはむしろ類似性・同質性が際立って見えてくる。「うわ、すごい似てるじゃん」というのが第一の印象。
中ほどの部屋ではショスタコーヴィチが曲をつけたソ連のミュージカル映画『モスクワのチェリョムーシカ』(Cheryomushki, 1962)のさわりを流していて、つい見入ってしまう。主人公ら二人がマイホームの夢を見る場面で、集合住宅のインテリア空間に入り、ハウスメーカーのCMさながら、「これが私たちの部屋。なんてすてき。キッチンもある。床はぴかぴか、ガラスのように。お友だちをたくさん呼べる。ダンスもできる」といって踊りまわりながら歌う。この作曲はつらい仕事でなかったのかどうか。
ヴェスパ(イタリア製スクーター)の初期形の現物を初めて見ることができた。戦後イギリスの窮乏の時代、少年たちの憧れの的だったもの。