週末だけの研究者

終日自宅にいて机に向かう。明日もその予定。ウィークデイは9割がた学務に時間を割かなければならず、週末のみほぼ別の時間となる(ほぼというのは、時々仕事がそこに持ち込まれるため)。「ウィークエンド・スカラー」などというフレーズはないかと思うが、事実上それだろうな。
 近刊の『愛と戦いのイギリス文化史1951-2000年代』の終章の最後の数ページを書き進める。ほかの章が校正段階なのだが、章の全体を踏まえた上でのまとめの部分ということで、ようやくここに来て書いている。予定15ページのところ、17ページまで書いて、まだ結びまで行けない。ミレニアム・ドームの祝典とブリットポップを取り上げつつ、ブレアとニュー・レイバーを文化史的に総括するというのは、この限られたスペースでは無茶だったかもしれない。
 この原稿書きの関係で、1996年2月のブリット・アウォーズ授賞式のことを資料で整理してみる。労働党が選挙で勝ってブレアが首相になる1年前のこと、ここにブレアは呼ばれて、デヴィッド・ボウイへの生涯功労賞のプレゼンター役を務めた。この出席自体、「スピンドクター」の仕掛けた選挙運動に他ならなかっただろう。この授賞式、マイケル・ジャクソンのステージにパルプのジャーヴィス・コッカーが乱入してパフォーマンスを妨げる波乱があった。そこでベスト・アルバム賞(『モーニング・グローリー』)ほか3賞を獲ったオアシスのノエル・ギャラガーが受賞スピーチで自画自賛に加えて会場にいるブレアを「男の中の男だ」みたいな言い方で称賛した(あとで告白しているところによると、ドラッグでハイになっていてそれを口走ったのだと言う)。こんなありがたいことを言ってくれるロックンローラーを首相就任後のレセプションに呼んだのも当然だろう。ノエルのほうは、よせばいいのに出かけて行って、ブリットポップの同業者たちの多くから蔑まれる。そのあたりのことはドキュメンタリー『リヴ・フォーエヴァー』に詳しい。

LIVE FOREVER [DVD]

LIVE FOREVER [DVD]