「世界のニュース」

 今日も猛暑日。9時20分出勤。教務関係の打ち合わせ1本。2時限目、イギリス文化講義、伝承童謡とヴィクトリア朝の絵本(特にウォルター・クレイン)について。午後学務。3時から4時40分まで理事会。5時から6時半まで学園綜合計画委員会。7時の学バスで帰途につく。

 書き忘れていたが、イギリスの日曜新聞『ニューズ・オヴ・ザ・ワールド』が盗聴スキャンダルにより7月10日号をもって廃刊というニュースがあった。ヴィクトリア時代の初期、1843年に創刊というから、168年続いたことになる。突撃取材のやりすぎで墓穴を掘ることになった。

 この新聞はジョージ・オーウェルの『動物農場』(1945年)のなかにも出てくる。第2章、マナー・ファームのジョーンズがこれを購読している。拙訳で引用すると、

六月に入り、干し草用の牧草ももう刈り取るばかりになっていました。ミッドサマー・イヴは土曜日でしたが、ジョーンズさんはウィリンドンまで出かけ、レッド・ライオン亭で飲みすぎてしまい、日曜の正午まで帰ってきませんでした。雇い人たちは早朝に牛の乳しぼりをすませ、動物たちにえさをやりもしないで、うさぎ狩りに出かけてしまいました。ジョーンズさんも家に帰ると応接間のソファにつき、『ニューズ・オヴ・ザ・ワールド』を顔にのせたまま、さっさとねむってしまったのです。そのため、夕方になってもまだ動物たちはえさをもらえませんでした。

これで動物たちはとうとうがまんできなくなって、反乱を起こしてジョーンズと手下の人間たちを追放、という話になる。新聞がジョーンズの特徴を示す小道具としてうまく使われている。ちなみに、結末のほうでナポレオンが講読しはじめる新聞は『デイリー・ミラー』。