モリス商会があったところ

 9月6日(火)、引き続きセネイト・ハウスにてリサーチ。

 写真はオクスフォード・ストリートの一区画。セルフリッジの向かいにある。
別段なんの変哲もない商店街の風景だが、画面左から2件目はモリス商会(ウィリアム・モリスが主宰した装飾デザイン工房)がお店(ショウルーム)を構えていた449番地。特にプラークなどもないが、アーツ・アンド・クラウツ運動に深く関わる重要なスポット。いまは1階はカバン屋さん、2階はインターネットサーヴィスの店になっている。画面では見えないが、通りの右手(マーブル・アーチのほう)のブロックは古い建物が解体されて新しいビルを建設中。モリス商会の入っていたこの建物もこの調子だとあと何年かして消えてしまうのではないかと思う。今回が見納めであっても不思議ではない。オスカー・ワイルドの「虚言の衰退」のなかで

「オクスフォードからその名前を借りた通り」(ワーズワスの詩句)の家具を前にしたら、〈自然〉は青ざめてしまう。

というくだりがあって、それはモリスの仕事へのさりげない賛辞になっているのだが、この場所を示唆している。