オリンピックじいさん

9月23日(金)お彼岸で横浜・鶴見まで。お寺(慶岸寺)にお墓参りをし、実家に行く。

帰り道、実家の裏手にある総持寺を通る。

総持寺の向唐門(むかいからもん)。
このお寺は私の子供時代の遊び場の一部で、現在大駐車場となっている西側奥のスペースは1970年代初めごろまですり鉢状の土地で中央に池があり、そこにアーチ状の橋が架かっていた。池には大きな鯉や鮒、あるいはカエルやヤゴもたくさんいて、ギンヤンマが池の上を飛んでいた。魚釣りはもちろん禁止で、それをすると管理人のおじいさんが目ざとく見つけて捕まえに来るのだった。その管理人は地元の子供たちの間では「オリンピックじいさん」というあだ名で恐れられていた。釣りはもとより、子ども(概ね男の子)が境内でなにか遊びをしていると、すぐに飛んできて介入する、その素早さからそう呼ばれていたのだったが、いまから思うと、あの速さはじいさんというよりはおじさんだったのかもしれない。釣りをしている現場を押さえられたとき「殺生」をするのがいけない云々の説教を受けたのだったが、その古池が突然埋め立てられたのを見たとき、魚たちの運命を思い、理不尽な気がした。その頃はオリンピックじいさんももういなくなっていた。