教科書研究会

9月19日(土)午後、慶応大三田キャンパスにて、イギリス文化史教科書研究会(『愛と戦いのイギリス文化史1900年〜1950年』の続編の20世紀後半を扱う本を作るための研究会)。本の構成、章立て、担当者を検討。だいぶ筋が見えてきた。ひょっとすると、すごい本になるのかもしれない、という予感がするが、書くのがたいへんだという、これは予感でなく、明白でシビアな現実がある。お互い𠮟咤激励しつつ進めていきましょう。終わって、だんの家で打ち上げ。
 日曜日は秋晴れのよい天気ながら終日自宅。午前中はリハビリでごろごろ。
 上記の本の企画の関連で、前々から気になっていた以下の映画をDVDでようやく見る。

 デイヴィッド・ヘアの戯曲『プレンティ』(1978年)の映画版。脚本ヘア、監督フレッド・シェピシ。主人公のスーザン・トラハーン(メリル・ストリープ)は、第二次大戦中、ナチス占領下のフランスで秘密軍事作戦の諜報部員を務めた女性。1943年、その作戦時にパラシュートで降りてきた諜報部員ラザー(サム・ニル)との愛のひとときと、レジスタンスの勝利の思い出を精神的原点として、戦後イギリス、1960年代初頭までの彼女の失望と挫折の年代記を語る。ヘアのご専門のTakashimura氏のご教示のとおり、原作では1951年イギリス祭の初日に主人公たちがロンドンのテンプルからテムズ対岸のサウスバンクの花火を見る場面が出てくるので(第5場)、映画版でそれがどう描かれているのか(イギリス祭のトピックをここのところ調べているもので)興味があったのだが、映画版ではイギリス祭は省略して、その場面は1953年の戴冠式に組み込まれていた。
 エンディングは原作と同様、1944年8月、解放の直後のフランス南仏の農村サン・ブノワで、その後20年間の失望を見たあとにこの場面が置かれて、若き日のスーザンの「プレンティ(ゆたかさ)」への無防備な希望の台詞(「(英国の因襲にまつわる)そんなことはすぐに変わるわ。私たちは成長したの。私たちは世界をよくするの」)がスーザンのアップのカメラ目線で語られて、せつない幕切れ。