「一生の約束」

 9月17日(木)〜18日(金)に一泊二日で卒論ゼミ合宿。場所は軽井沢三泉寮。
 この大学寮(旧軽銀座から北に徒歩5分くらいのところ)は大学では毎年一年生全員が教養特別講義という必修科目のセミナー(通称「軽セミ」)で訪れる。ゼミ生たちはそれ以来ということになる。
 卒論ゼミ合宿は従来は二泊三日でおこなっていたが、今回は前後に学務が入っているため一泊に。ゼミの人数は9名(割当は今年は12〜13名ほど持つべきところ、学務部長職就任に伴い減らしてもらったのだった)。卒論は4年生全員が必修で、学科のフォーマットで英文30枚(およそ7500語)以上、1月の冬休み明けが締切。夏休みの課題として、卒論のどれか1章を書いて1週間前に送付、合宿では各自がその部分を発表しみなで討議をするので一人当たり40分ほど。さらにチェック済みの課題を返却しての個別の面談も入れ、合わせるとおよそ8時間、みっちりおこなった。
 軽井沢は秋が深まり、まもなく紅葉の季節。天気は上々だが気温が低く、ゼミ室では電気ストーブを使用。
 一日目、夕食を囲んでいるとき、一人が「先生、のりピーがこれから会見ですって」という。携帯で情報を得たらしい。そわそわしていて、どうやらみなにとって非常な関心事であるらしい。
 大食堂にテレビがあって、これは「軽セミ」では学園の歴史にまつわるビデオなどを見るのに使われるのだが、その前のテーブルに陣取り、6時半ぴったりにつけると、まさに「のりピー」保釈会見のライブ映像が映し出される。9人全員食い入るようにまんじりともせず、息をつめて、謝罪と誓いの声明の言葉に聞き入る。終わると、ちょっと涙ぐんでいるのもいる。なるほど、ニュース・ヴァリューがこのようにあるわけか。会見は平たく言えば「すみません、もうしません」の声明だが、構成・台本が周到に練り上げられていて、たいへん見事なショーになっていた。
 それにしても、関心のある対象に傾ける学生諸君の集中力はすごいものがあると、おどろいた。このときに、さらには「ウノ」のゲームの折にも示した集中力を、卒論執筆に注げば、かならず全員、りっぱな合格論文を仕上げることができるにちがいない。